2014/01/01 心を磨くために必要な「六つの精進」

京セラKDDI設立。新時代経営リーダー稲盛和夫の経営哲学生き方 に学ぶ/外食業 界に生きる人間として

「うれしいときは喜べ、素直な心が何よりも大切」

感謝の心が幸福の呼び水なら、素直な心は進捗の親であるかもしれ ません。自分の耳に痛いこともまっすぐな気持ちで聞き改めるべき は明日といわず、今日からすぐに改める。そんな素直な心が私たち の能力を伸ばし、心の向上を促します。

この「素直な心」の大切さを説いたのが、松下幸之助さんでした。 松下さんは、自分には学問がないからと、いつも他人から教えても らうことで自分を成長させていこうとする姿勢を生涯変えることが ありませんでした。

経営の神さまといわれてなかば神格化された以後も、この「生涯一 生徒の気持ち」を忘れずつらぬかれたところに、松下さんの真の偉 大さがあるあると私は思っています。

もちろん、その素直とは、右を向けといったらただ右を向く、そう いう従順さのことではありません。素直な心とは、自らの至らなさ を認め、そこから惜しまず努力する謙虚な姿勢のことです。人の意 見をよく聞く大きな耳、自分自身を見つめる真摯な目。それらを身 のうちに備えて絶えず働かせることなのです

まだ研究者として駆け出しのころ、一生懸命実験に打ち込んで思い どおりの結果が出ると、私はよく「やったあ」と飛び上がって喜び を全身で表現していたものです。ところが私の助手は、そんな私を ひややかな目で見ていました。あるときも、私は飛び上がって喜び ながら、その助手に向かって「キミも喜べよ」と促したところ彼は さも面白くなさそうな顔で私をジロリとにらみ、「あなたはなんて軽 率な人なんでしょう。」と吐き捨てるようにいいました。

「いつも些細なことで、やったと喜んでいましたが、男が飛び上がっ て喜ぶようなことは、一生のうちに一度か二度、あるかないかのこ とです。そうしょっちゅう軽々しく喜んでいたら、人間を安っぽく 見せるだけですよ。それを聞いて私は一瞬、冷水を浴びせられたよ うに感じました。しかし私は気を取り直して、次のようにいいまし た。

「キミのいうことはもっともだが、成果が出たときには、それがささ やかなものであっても単純素直に喜ぶのがいいと私はおもっている。 多少軽薄ではあっても、素直に喜び感謝する気持ち。そういう心の在 り方が、地味な研究や地道な仕事を続けていくためのエネルギーとな るのだ。」

なかばくるしまぎれのセリフでしたが、それは私の人生の指針や哲学 を明快に反映していたように思います。つまり、どんなささやかなこ とに対しても、うれしいという喜心、ありがとう感謝の気持ちをもっ て、理屈抜きで素直に接すること。その大切さを私は図らずも助手に 向かって説いていたのです。

素直に言えば、日々の反省も心を磨くために忘れてはならない実践で あり、素直な心の所産なのでしょう。いくら謙虚であろうと努めても つい知ったかぶりをしたり、偉そうに振る舞ってしまうことが人間に はあります。

驕り、高ぶり、慢心、いたらなさ、過ち、そういうおのれの間違った 言動に気付いたときは、自ら反省の機会をもち、自分を律する模範の タガを締め直すことが大事です。そのような日々の反省を厭わない人 こそ、心を高めていくことができるのです。

外食業界においても同様なことがいえるでしょう。むしろ経営側、現 場のスタッフなどの立場では、素直に喜べるのは、どちらかといえば 現場に直結したスタッフにその思いをもっと持ってほしいところだ。 企業として全体の業績が他社に比べて高く評価されることについては 、経営側は素直に喜ぶことはあるものの、会社としての風潮がなけれ ば、さほどその評価や成果についての反応はしないのが現実であろう。 人間は、どんな立場においてもその仕事に慣れてしまうと、当初は凄 く嬉しいこともだんだんその喜びも半減し、心から喜びを思いに出さ なくなることである。

仕事の立場や内容にかかわらず(人間年齢に関係なく)仕事の業績に対 して評価を受ける場合には、素直に心からの喜びを表すということを 忘れてはならない。仕事の立場が変わると、心では喜んでいるにも関 わらず、その思いを部下や上司に対して表現方法さえも低調になるき らいがあることだ。むしろ自分のことや部下の仕事の成果に対して素 直に喜んであげることが、そのスタッフの今後の仕事へのモチベーシ ョンやエネルギーになることを理解しておかなければならない。スタ ッフはその思いに素直に喜び感謝すべきであることだ。近年の上司と 部下の人間関係は、仕事を通しての機械的関係だけに終始し信に部下 の悩みや不満に耳を傾けようとしない現実がある。

特に昨今の外食業界は厳しい時代を迎えていることを配慮すれば、部 下の仕事への成果に対する反応は、上司の立場にあるスタッフはもっ とメンタルコントロール(モチベーション・スキル)を上げるために素直 に共に喜んで上げることが上司としての役割であろう。

勿論、仕事は成功ばかりではないだろうし、時には失敗や怠慢など日 々の仕事に自己嫌悪に落ちることもあるだろう。その失敗については 、素直に自分を律する心を持つことが大切なことであることを理解し なければならない。

仕事の立場や内容にかかわらず、人間の原点はある喜びや悲しみ、怒 り、啓蒙など自己研讃を忘れてはならないだろうし、常に奢らず、冷 静な自分の意識を持つ続けることが、外食に関わる姿勢であるべきだ。


メールマガジン 発行者 AFD CONSULTANTS 竹谷稔宏