2014/01/01新しい時代に向けた独自路線を見出せ/思想変革と破壊的イノベーションの実銭へ(竹谷稔宏)

2014/0101新しい時代に向けた独自路線を見出せ/思想変革と破壊的イノベーションの実銭へ(竹谷稔宏)

外食産業の現状と内容

外食産業は1997年の30兆円をピークに毎年のように統計的には低下の一途を辿り、2013年の現在では24兆円市場であるといわれていることをまず理解しておくことだ。飲食店の店舗数で表現すると、全国的には約44万店の大きな産業であり、その他の産業と比較しても自動車産業16兆円、スーパー・百貨店16兆円などとの差は大きく、いかに大きな産業であるのかは周知の通りであろう。

しかし飲食業界の売上や店舗数の増加は、もっぱらチェーン企業の上位寡占状態の結果であり、いわゆる大手飲食企業が業界全体売上増加の一躍を担っていることも現実であることを忘れてはならない。つまり外食業界を別の視点で見れば、個人店も多く零細企業の集合と飲食業界の総合力でマーケットを構成しているという一面を持っていることを理解しなければならない。

いわゆる産業という名で呼ばれているものの、実質的には生業稼業の数が多いのが現実的であり、業界全体の問題としては、相変わらず個人店・生業家業の数に支えられていることは否めない事実であることだ。今後も個々企業や中小企業が常に自己研讃を怠らず、成長しようとする「スキルやモチベーション」がなければ、益々外食マーケットが減少していくことを認識しておくことだろう。というよりも食に対する利用の方法や業態を選択する視点が様々に変化してくることは明白なことだろう。

 

外食産業の課題と問題点/魅力づくのポイント

飲食業とは、「商品力」と「サービス/ホスピタリティー力」と「雰囲気」と「価格」によるソフトとハードのレベル差で繁盛の成否が左右されてしまうことが多く、また常に人を介して成立するビジネスだけに、大手企業の飲食であってもすべて成功するという確証はどこにもないことの難しさが飲食店ビジネスの現実があろう。
また今後は年々少子高齢化が進み人材不足やサービスレベルの低下などは、業界全体としての大きな課題になってくることは事実であろうし、特に飲食業界の場合は、現場の労働力に依存していることの現実(額に汗して努力すること)が、飲食店の売上を支えていることを理解しなければならない(将来的には労働力確保が難しくなってくることは明白な現実になることだ)。

大きな課題としては、労働力の確保や人材育成プランの将来的展望の道筋を切り開いておかなければ先ゆかなくなることを理解しておかなければならない。

また特に企業が新しく発信する業種・業態の企画、業態作りには、常に時代や生活者のライフスタイルの変化を観察し、年々変化する流行り、動向を分析し業態企画作りに臨むことが大切であることだろう。つまりその店が利用する生活者に支持されなければ、繁盛店を生み出すことはできないことを忘れてはならない(現実から目を背けてはならない)。

近年の飲食店のオピニオンリーダーは「女性客と言っても過言ではなく」、幅広い年齢に合わせた数々の新しい飲食店の前に長蛇の列をつくるという現状はもう当たり前の光景になってきていることに目を向けることが大切であろう。

あの業態はあくまでも流行であり、1年もすれば衰退するという勝手な視点で店を見るのではなく、何故に女性客は店の前に長い時間待ってでも、その店を利用したいのかという心理や動機、料理の味、サービス内容など様々な視点で分析をすることが大切であるはずだ。この現象は新しさ物珍しさであり、あくまでも「我々には関係ない業態だと決めつけてしまうことが」根本的にマーケットの読み方を見余っていることもしばしばあることを理解しなければならない。

特に飲食企業の悪い風潮としては、新しい業態企画作りに際してロクに業態を様々な角度から分析もせずに、トップ、ダウンという単なる企業側の自己満足で業態づくりの終始しやみくもに新業態を発信しがちであることを自覚しなければならない。

今後の飲食店の魅力づくりの上で大切なことは、女性客に支持される店作りをすること、店のこだわり、オリジナルティー、低価格高付加価値。いわゆるハードとQCS+V(クオリティー・コスト・ホスピタリティーサービス+付加価値)のソフトの絶妙なバランスがとれている店こそ、生活者が求めている飲食店の姿であることを理解しなければならない。

 

企業の海外戦略/アジア圏への進出

大手外食企業は、新しい市場を目指して続々と欧米やアジア圏に進出を始めていることだ。しかしこの進出には業種・業態によっては成功も撤退などリスクもあることをまず理解しておくことだろう。

しかし今後企業の活路のひとつとしては、日本市場だけに終始せずに、海外戦略にもポイントを模索していく必要があることだ。つまり海外進出といっても、欧米への進出ではなく、アジア圏(、バンコク、ベトナム、インドネシア、フィリピン、カンボジア)といった東南アジアの市場のこれから発展性のある国ということが、大きな展開の方向性のポイントになることだ。

しかし注意しなければならないことは、欧米・アジア圏の進出に関わらず、食文化や習慣の異なりなど、その内容を十分に事前調査なしには(軽々しく先行企業の成功にあやかろうと)、進出に突っ走ることは危険性が高いことであり、事前にアジア圏への進出を果たしている成功企業の詳細分析を徹底的にすること、つまりその成功を自社の業態に移行した場合の総合評価や業態調整をしなければ、たやすく成功という成果をあげることは難しいことを理解しておかなければならない(そうそうに柳の下にドジョウはいないもの)。むしろ慎重に行動して調度よいバランスになると思っていた方が賢明であるだろう。

また日本の和食が、世界の無形文化遺産に登録されたことは、伝統的な食文化に対して世界的評価を受けたものの、若者の和食離れや、和食の継承をどのように考えるのかなど課題は大きいだろう。
しかしこの文化遺産に登録されたことを配慮すれば、むしろ海外進出は絶好のチャンスなのかもしれない。それはあくまでも認知が高い日本の食文化(和食)というカテゴリーに限定されることは周知の通であろう。

 

破壊的イノベーション実践へ

この破壊的イノベーションとは(過去のブログでも述べているように)、イノベーションモデルの一つで、確立された技術やビジネスモデルによって形成さけた既存市場の秩序を乱し、業界構造を劇的に変化させてしまうことであり、ハーバード・ビジネススクールのクレイトン・M・クリステンセンが提唱したものである。

その思想を今後の外食業界に置き換えてみると、様々な新しいイノベーション手法が見えてくるはずだろう。そのイノベーション手法を企業に取り入れるスタンスとして理解しなければならないことは、これまでの概念や慣習に左右されてしまっては、新しい発想やイノベーションを進めることはできないことだ。むしろ「無にすること」から物事をスタートするという姿勢ですべてに取り組むべきであることを理解しなければならない。

前述しているように、確立されたフードビジネスモデルを模倣し、その技術レベルを劇的に変化させて、新しいフォーマットを生み出すことも一つのイノベーション手法であるだろう。

しかし飲食店という「人を介してサービスするスタイル」は、さほど大きく変わるものではないだろうし、ソフトを大きくイノベーションすることはホスピタリティーの質レベルを上げる努力を怠らないことだろう。

ではどこにイノベーションの視点をおくかは、まず食材流通コストの削減(原価率低下)、新しい仕入れ劇的な流通ルートを確立すること、料理プロセス(調理を機器依存すること)、店づくりそのもののコストダウンやローコスト手法をいかに活用するかなど、いわゆるこれまでの常識や慣習にとらわれないところに、新しいイノベーションの姿を見出すことができるはずだ。

とかく新しい発想やカタチに対しては否定する人の方が多く、なんのシュミレーションもせずに、「それは無理であるとか」、「これまでの慣習にない」「誰が担当するのか」などともかく反対するスタッフが多くなることは覚悟しなければならないだろう。

むしろ業界以外の参考手法を焼き直し、飲食業界に新しい活路を見出す手法をドラスティックに導入することこそ、イノベーションの一歩に繋がるはずだ。

一つの例としては、昨年から今年にかけてコンビニエンスストアーで低価格且つ美味しいコーヒーを販売し(生活者の消費行動を大きく変えるばかりか)、ライフスタイルまでも変えるドラスティックな変革こそ、イノベーションのよい題材でもあるだろう。

ともかくこれまでの概念や習慣を破壊し、新しいフードビジネスのイノベーションに取り組む姿勢を持つことや予想もできない切口にチャレンジすることが、新しい独自路線を見出すヒントに繋がるだろう。

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