2015年/01/01外食業界2014年の動向を振り返る/時代に変化する顧客ニーズを読む(竹谷稔宏)

2015年/01/01外食業界2014年の動向を振り返る/時代に変化する顧客ニーズを読む(竹谷稔宏)

飲食業界にとっては、いまだ厳しい経営状況が続いていることは変わりのないことであるが、年々長い行列をつくる飲食店(種々な業種・業態)の登場は相変わらず多く、その人気は周知のとおりであろう。

以下に2014年の注目されたキーワードと内容を個条書きに記していこう。

1六次産業が本格的指導へ/六次産業の動きが活発化してきていること

六次産業とは、農業や水産業などの第一次産業が食品加工・流通販売にも業務展開している経営形態を表すまた、このような経営の多角化を6次産業化と呼ぶ。 1次産業と2次産業と3次産業を足すと6次産業になる。 産業分類で言うと、1次産業は「農林水産業」、2次産業は「製造業、建設業、工業」など、3次産業は「小売業やサービス業」を指している。◆第4次産業とは「ソフトウエア産業、情報通信産業、技術開発」など、物質やエネルギーなどの大量消費を伴わない産業。マスコミや芸能界なども含まれる。第5次産業とは第1次から第4次までの産業形態を自由に融合、分化させて、これまでになかった一種の不定形な産業を生み出す産業のことである。

 

2TPPとは(トランス・ パシフィック ・パートナーシップ)の略であり日本・米国を中心とした環太平洋地域による経済連携協定の意味である。その問題も絡み、様々な産地で地域物産を特産物化し、地域経済の活性化に繋げようという動きが活発化している。

しかし肝心の出口(売り先)を持たないため、多くの自治体で良い産物を抱えたままプロジェクトが頓挫するケースが相次いでいる。ここに深く食い込んだビジネスモデルをすでに構築しているのが居酒屋「塚田農場」で知られるエー・ピーカンパニーである。

◆同社は2013年6月に農林水産省と折半で出資して「六次産業ファンド」を立ち上げている。ここまで大がかりなプロジェクトでないにしても、地域の産物を積極的に売ることで、産業活性化や地域雇用に繋がるケースは少なくない。

ご当地酒場「北海道八雲町」などを運営するファン・ファンクション(東京・八重洲)のような地域産物を使いPRも兼ねた酒場の展開もその一つだろう。ただこのようなご当地業態だけでなく、もっと大衆店で地域産物を導入した業態を開発する動きも水面下で進んでいる。

また、居酒屋甲子園が地域活性プロジェクトとして「第1回居酒屋大サーカス」を2014年5月に熊本県で開催。特に14年は、こうしたプロジェクトが複数動きだし、規模の大小にかかわらず、生産者との結びつきを重視した、ゆくゆく六次産業ビジネスに繋がる動きも含めますます活発化するだろう。

「居酒屋甲子園」とは、“居酒屋から日本を元気にしたい”という想いを持つ全国の同志により開催された、外食業界に働く人が最高に輝ける場を提供する大会である。

その内容は全国からエントリーされた居酒屋のうち、独自の選考基準で選ばれた優秀店舗が、年一回、数千人が集う大会場に集結。ステージで自店の想いや取組みを発表し、 居酒屋甲子園における日本一の店舗を決定、外食業界で働いている人が夢や誇りを持てる大会にすることを目指している。

2006年の第1回大会は236店舗、2007年の第2回大会は739店舗、2008年第3回は770店舗、2009年第4回は、1,103店舗、2010年第5回は1129店舗、2011年第6回は1369店舗、2012年第7回は1332店舗の参加店舗様で予選を勝ち上がった優秀店舗6店舗が5,000人観客の前で熱いメッセージを伝えた感動の大会になった。
今年2013年第8回は参加店舗数1392店舗でスタートした。

居酒屋甲子園は非営利活動法人(NPO)として設立し、居酒屋甲子園をきっかけとして全国各地で生まれた、外食業界を皆で活性化しようとする取組みを支援している。

3和食・そば業態に脚光

◆ここ数年のワインバル人気にもひと息入り、その揺り戻しで、和食業態への注目が高まるだろう。2013年にも「日本酒バル」的な動きが増加したが、やや尖り過ぎた感は否めず、爆発的な増殖には至っていない。

今年はそのジャンルへの切り込みとして、和風居酒屋よりカジュアルという点で、バル的な要素を強めた和業態が活発に開発されるのではないだろうか。

◆日本酒バル・スペインバル・肉バル・和バル・ワインバルその他バルスタイルの業態が増殖中である

◆注目は蕎麦業態だ。ラーメン業界では、若い力がどんどんと頭角を現しているが、蕎麦業界への新規参入は非常に少なく、特に新興外食企業もあまり食指を動かしていないのが実態だ。いわゆる街場の蕎麦屋に変わる存在は極めて少ない。ここの分野は狙い目ともいえ、水面下ではすでに動きが活発化している。蕎麦業態はまさにブルーオーシャンともいえ、今後、熱くなりそうな分野であろう。

4俺シリーズの経営フォーマットと戦略

「俺のシリーズ」で知られる「俺の割烹」をもうひと回りカジュアル化した大衆割烹業態のジャンルに注目が集まるとみている。大衆割烹のジャンルは旧態依然とした店しかなく、新たなアレンジを加え、敷居を下げた和食の大衆化が求められている。バルのような軽快な要素を兼ね備えた大衆割烹業態が注目だ。

そこで提供される日本酒も、現在、「日本酒バル」などにあるようなマニアックな「モダン日本酒」ばかりではなく、価格的なことも含め、もっと気軽に楽しめる「大衆的な工夫」が必要だろう。あえてオリジナル日本酒にフォーカスするのも新鮮かもしれない。

「俺のフレンチ」「俺のイタリアン」を運営する俺の株式会社の最新店舗「俺のやきとり 銀座9丁目」が、7月12日、東京・銀座に開店した。

「俺の」シリーズの業態は出現してまだ2年だが、早くもお店の前に長蛇の列ができる圧倒的な集客力を誇っている。ビジネスモデル的にいえば、ミシュランの星つきの高級店で活躍してきた料理人を起用し、「原価をじゃぶじゃぶ使ってください」と坂本孝社長自らが指示を出す通り最高級の食材を惜しげもなく使い、それを驚愕の低価格で提供するというのが「俺の」シリーズのビジネスコンセプトである。

にもかかわらず事業として成立している理由は、高回転率にある。店内は基本立ち飲み形式で、顧客の回転は着席型のレストランよりも早い。しかも、驚愕の料理が驚愕の価格で供せられるという噂が噂を呼び、お店の前に行列が途切れることがないから、この種の業態としては異例の1日3.5回転という高回転が達成できる。結果、常識的な原価率は30%程度という飲食業界のセオリーを破って、60%台まで原価率が上がっても利益が生まれるという型破りのビジネスモデルが成立している。

さてこの「俺の株式会社」のビジネス展開にはもうひとつ、経営学の基本に忠実な、ある方針が採用されている。経営学的にいえば、同社はウォルマートやスターバックスと同じ戦略を用いていることになる。

それが「ドミナント戦略」という理論である。

実は「俺のやきとり」の出店で、俺の株式会社の運営する店舗は、銀座8丁目近辺に合計8店舗が勢ぞろいすることになった。いつの間にか銀座8丁目は「俺の」シリーズだらけ、行列だらけになっている。

これがドミナント戦略だ。ある地域で圧倒的な存在感=ドミナンス(圧倒性)を確立したら、次の地域へと侵攻していく。どの地域でドミナンスを狙うのがいいのかは、業態によってやり方が異なる。郊外店として発展するウォルマートの場合は、郡単位でドミナンスを確立しながらアメリカ全土に広がっていった。スターバックスは都市単位。シアトルでドミナンスを確立すると、次はシカゴ、さらにはバンクーバーと侵攻を広げていく。

◆街単位でのドミナント戦略の優位点

そして俺の株式会社の場合は、どうやら街単位でドミナンスを確立していく様子なのである。なぜ街単位がいいのか? 街単位でのドミナント戦略を採用すると、競争上優位になることが3つある。

1広告効果がよくなる
2出店効率がよくなる
3採用効率がよくなる

◆ドミナント戦略(ドミナント・せんりゃく、strategic dominance)とは主にチェーン展開している店舗出店施策の一つでビジネス用語。ドミナント出店、エリア・ドミナンス戦略とも言う。時に出店そのものを指すことがある。dominant の元来の意味は優位支配

これらの点は、スタバを考えるとわかりやすい。スタバは日本でも1000店舗まで増えてきたのだが、結果として近所にスタバが何店舗もあるから、「わざわざ広告しなくても、お店の看板だけで十分なブランド広告効果が得られるようになる」。

スタバに押されて一等地の喫茶店が閉店すると、不動産屋は真っ先にスタバに「テナントが空きましたが、出店しませんか?」と声をかけるようになる。集客力のあるテナントは不動産価値を上げるため、賃貸料も優位に交渉ができるようになる。そして同じ地域に何店舗もあれば、アルバイトの配置もやりやすい。

 

■「俺の」シリーズの場合、銀座に合計8店舗、「俺の」ブランドの店舗だけでも「俺のフレンチ」「俺のイタリアン」「俺の割烹」「俺のやきとり」と6店舗が狭い地域に集中している。そのすべてに行列ができるという意味で広告効果も絶大なのだが、実は立地面でも銀座8丁目からドミナント戦略をスタートするというのは理にかなっている。なぜかというと、実は5年前にリクルートの本社が銀座8丁目から丸の内に移転したことが関係してくる。

日本で“一番元気な”営業部隊を抱えて、アフターファイブの遊び方にかけてはどの大企業にも負けないというリクルートが移転した結果、実は銀座8丁目界隈の飲食店の経営に、結構な影響が出てしまっているのだ。なんらかの起爆剤が欲しい銀座の街と、銀座を大人の遊び場として復活させたいという俺の株式会社の坂本社長のコンセプトが、ここで一致することになる。

銀座に集中する店舗のうち、後から出店した4店舗では驚愕の低価格料理に加えて、ジャズの生演奏の設備が置かれ、毎晩、「俺の銀座ジャズ倶楽部」のメンバーによるライブが行われる。それもミュージックチャージは300円という低価格だ。

ここでもドミナント戦略の意味が出てくる。4店舗の立地が近いので、場合によってはミュージシャンの掛け持ちが可能になるわけだ。そう考えれば、ミュージックチャージが割安に設定できることも納得できる。そして、銀座の夜がまた楽しくなるという好循環が起きるようになる。もちろんソムリエやギャルソンといったホールスタッフの採用や配置転換、ヘルプでの人材の融通も、地域にお店が密集していればやりやすくなる。

 

◆行列も経営資源として有効活用

さらに言えば、行列をつくる顧客にも、ドミナント戦略はメリットがあるのだ。この地域で最も人気が高い「俺のフレンチGINZA」の予約は毎月1日午前10時に始まるのだが、電話が殺到し、なかなかつながらないため、最近では店舗に直接出向いて予約を取る人が増えている。

知人がその情報をもとに1日の午前中に予約を取りに銀座に行ったところ、なんとお店の前にはすでに40名ほどの行列が、予約を取るためだけの目的でできていたそうだ。その行列に並ぶ時間はない。ところがほかにも銀座には「俺のフレンチ」があることを知っていた彼は、その足でそちらの店舗に向かうことで、無事予約が取れたという。

お店が混んでいれば、そこに来た顧客は他店に流れてしまう。しかしドミナント戦略なら、系列の別のお店に顧客を案内することができるようになる。つまり、行列も経営資源として有効活用できるのである。

5クラフトビール人気さらに

◆ジワジワと拡大・浸透しているクラフトビールは、「クラフトビアマーケット」(東京)に代表される、1杯当たりの提供価格を下げた業態の出現により、大いなる可能性が世に示された。数多くのタップを揃えた専門店となると初期投資も多く敷居はかなり高くなるため、参入する店もぐっと減るが、ドリンクメニューのラインアップとして特に国産のクラフトビールに着眼し導入する店は、ここ数年で飛躍的に増えている。

◆クラフトビールとは簡単にまとめると、クラフトビール(もしくはクラフトビールの醸造所)とは
1小規模であること
2独立していること
3伝統的であること
の3つの条件を満たしているということとなっている。
まずはじめの「小規模」の条件は年間生産量が600万バレル(約70万キロリットル)までとされている。
ただし、これも2011年1月までは200万バレルまでとされていたことを思えば、今後も変更される可能性はある。(なお、この変更はボストンビール・ブルワリーが200万バレルを超える見込みになったためにおこなわれたものである。)
続く「独立」はクラフトビールメーカー以外の酒造メーカーに所有されたりコントロールされていないということが条件である。
そして「伝統的」に関しては、麦芽100%のビールを主力商品としているか、その大半が麦芽100%のビールであることとされている。ただし、味わいの特徴を強めるためにその他の原料を使っている場合は麦芽100%にこだわる必要はない。
もっとも、この定義はアメリカにおけるものであり、これをそっくりそのまま日本に転用することは難しい。
まず、「小規模」の件は日米では生産量の桁が大きく違う。
「独立」に関して言えば、日本の場合は日本酒メーカーや観光会社が母体となっているクラフトビールがあるので、そこが定義の境界線になると範囲が狭くなってしまい、そぐわない。
「伝統」並びに「麦芽100%」の概念も発泡酒や第3のビールという酒税法の違いが有るか無いかという点で違ってくる。
日本における「クラフトビール」の定義は、日本の事情に合わせ今後考えていくべきであり、確立していくに違いない。それもまた楽しみのひとつである。

◆こうした動きがベースとなり、クラフトビールは一過性のブームではなく、着実に根付きつつある。居酒屋や焼鳥屋など、非専門店で導入される流れは今後も続くとみられ、ビールジャンルそのものへの消費者の関心を呼び戻す意味でも、ビール業界全体にとって歓迎すべき現象といえよう。

◆2014年3月に開業する「コレド室町2」に、前述した「クラフトビアマーケット」が和食との組合せを提案する新業態で出店する。この店は大いに注目されると同時に、和食店へのクラフトビール浸透を促すキッカケとなるのではないだろうか。

6高級業態の伸長

高級業態が売上を伸ばす。2013年の後半くらいから、株価上昇に伴い一部の個人投資家などによる高級ラウンジ等での消費が活発化。また、大手企業の2013年度業績は輸出産業を中心に好業績が予想されていることから、すでに領収書の発行が増加傾向にあるとも伝えられている。2014年度からは中小企業にとどまらず、大手企業にも交際費非課税措置の適用拡大されることで、企業内に経費が認められやすい下地は整っている状態だ。

◆ひらまつ、うかいといった客単価1万円以上の業態を複数展開する企業では、すでに2013年度の売上高が伸びている。こうした変化を背景として、ひらまつやうかいといった企業は2014年度に新規出店を計画。ともに1億円以上の設備投資額であり、こうした現象は中期的に投資回収が可能な集客の見通しが立った証であるとみることができる。さらに高級業態の好調さが顕著になるだろう。

 

7増税前の駆け込み需要

◆外食でも4月の消費増税前に駆け込み需要というべき現象が生じる。流通分野では2、3月に消費増税前の駆け込み需要が見込まれる。外食には関係がないといわれるが、消費行動を分析すると、こうした需要が生じる可能性は高い。2、3月には、買い物にでかけるといった消費行動が平常時よりも増えることが予想され、外出機会が増加することになる。

◆外出そのものが外食の前提条件であり、流通分野の駆け込み需要が生じることは外食業界にとっても、プラスになるに違いない。消費者が買い物に訪れる郊外型ショッピングセンターや繁華街といった立地では、外食にも増税前の駆け込み需要というべき現象が生じるだろう。

8「肉」訴求人気は今年も続く

◆Tボーンステーキを中心とした骨付き米国産牛肉を使用したステーキメニューがさらに支持を集める。2013年2月、米国産牛肉の輸入条件が見直され、2003年12月以来、骨付き米国産牛肉の輸入が可能になった。これによってステーキ専門店やディナーレストランでは、骨付き米国産牛肉をメニュー化の事例が増えてきた。

◆特にヒレとサーロインが同時に楽しめるTボーンステーキの注目度は高く、提供した店舗では予想以上の売上を記録した。Tボーンステーキが支持された要因として、過去に食べた経験のある層は懐かしさを、食べた経験のない若い層は新しさを抱いて、幅広い層に受け入れられた。提供者にとっても、単価を確保できる付加価値提案として注目度が高まり、さらに導入事例が広がると予想される。

9/2014年スウィーツ人気動向「パンケーキ、ポップコーン、エッグべネディクト、ポップコーン、グラノーラ、フレンチトースト」など日本中に人気の波が波及した年であった。

◆圧倒的な人気1位はパンケーキであり、朝食を外で食べるというライスタイルが定着してきたこともあり、各スウィーツが大きく差をつける形になったこと

◆2位ポップコーン3位フレンチトーストなどスウィーツ人気は、多くの女性客に支持された年でもあっただろう。

◆今後の動向としては、パンケーキやフレンチトーストは、朝食の定番として定着する予測にあり、パンケーキ、フレンチトーストの人気は女性客の朝食、ランチなど需要は増加する傾向にあるだろう。

2014年の外食動向を振り返れば、話題になった飲食店や商品は多く目立ったものの、毎年のように繰り返される人気ヒット、流行と飲食店の衰退は常に繰り返されることであることだ。

時代の変化に生活者は何を求めているのかあるいは何が注目されて、ヒット流行商品になるのかなど誰にも分らないものの、飲食店の経営という視点で見た場合には、継続的経営ができない業態は、ただ単に一過性の流行でしかなく、流行と衰退を繰り返していくことは時代の生活者ニーズの曖昧さにあることを理解しておかなければならない。

 

 

 

 

 

 

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