2014年06月01日 「働く喜びはこの世に生きる最上の喜び」

2014/06/01京セラKDDI設立。新時代経営リーダー稲盛和夫の経営哲学生き方に学ぶ/外食業界に生きる人間として「働く喜びはこの世に生きる最上の喜び」

これまで、心を磨き、人格を高める心がけをいくつか説いてきましたが、物事を成就させ人生を充実させていくために必要不可欠なことは、「勤勉」です。すなわち懸命に働くこと。まじめに仕事に一生懸命に打ち込むこと。そのような勤勉を通じて人間は、精神的な豊かさや人格的な深みも獲得していくのです。

私は人間がほんとうに心から喜びを得られる対象というものは、仕事の中にこそあると思っています。そういうと、仕事一筋では味気ない人生には趣味や娯楽も必要だという反論が返ってくるでしょう。しかし趣味や遊びの楽しさとは、仕事の充実があってこそ味わえるもので、仕事をおろそかにして趣味や遊びの世界に喜びを見出したとしても、一時的には楽しいかもしれませんが、けっして心からわき上がるような喜びをあじわうことはできないはずです。もちろん仕事における喜びというのは、飴玉のように口に入れたらすぐ甘いといった単純なものではありません。労働は苦い根と甘い果実をもっているという格言のとおり、それは苦しさやつらさの中からにじみ出てくるもの。仕事の楽しさとは苦しさを超えたところに潜んでいるものです。

だからこそ、働くことで得られる喜びとは格別であり、遊びや趣味ではけっして代替えできません。まじめに一生懸命仕事に打ち込み、つらさや苦しさを超えて何かを成し遂げたときの達成感。それに代わる喜びはこの世にはないのです。人の営みのうち最上の喜びを与えてくれる労働において、あるいは人生の中でもっとも大きなウェイトを占める仕事において、充実感が得られないかぎり、ほかの何かで喜びを得たとしても、私たちには結局ものたりなさしか残らないはずです。

つまり日常生活の労働に懸命に取り組むこと、日常の労働がすなわち修行であり、一生懸命仕事に取り組むことが、そのまま悟りにつながる道だと教えているわけです。悟りとは心を高めること心が磨かれていくその最終、最高レベルが悟りの境地です。

外食業界についても同様なことは多々あることであり、仕事の成果が思い通りに達成できれば、喜びはひとしおでしょう。しかし仕事そのものが常に楽しいことであることは種々な仕事に就いている人によってもその内容は異なることが現実であることだ。勿論、仕事に対してあるいはいかなる事柄に対しても真摯に向かい、仕事に勤勉であることが人間の生き方としては重要であることには他ならない。

特に外食業界の場合の職種としては、大きく飲食店本部と店管理という二つに分かれることが多く、その間を取り持つ役割をする人がミドルマネージメント、スーパーバイザー、エリアマネジャーという名称で呼ばれている人であることだ。外食業の仕事とは、人を介してビジネスが成立するものであり、人の介在なしには成立しないビジネスであることだ。

つまり誰かが仕事に対して勤勉でないあるいはいい加減であるという行動に終始すれば、その結果や問題はすぐに現実化し、お客様に迷惑や企業の信用を失うことになることを忘れてはならない。これまでも幾度となく述べてきているように、人間とは弱い生き物であり、取り巻く誘惑は数知れずであろうし、いかにその誘惑に打ち勝ち、自己研鑽やあるべき自己意識を確立することが自らを育てる基盤になることだ。とは言うものの、現実的にはその誘惑の誘いに乗じるあるいは横道にそれることは、日常茶飯事であり、全ての仕事において完璧であるという人間は少ないだろう。仕事の種類によっては、常に難しい仕事や問題が予期しない時に発生するものであり、その問題や目標に切磋琢磨し努力を積み重ね、その成果を上げたときの喜びは大きいはずである。

つまりいかなる仕事であろうとも人間としてまじめに仕事に一生懸命に打ち込むこと。そのような勤勉を通じて人間は、精神的な豊かさや人格的な深みも獲得していくのであることを忘れてはならない。