2014年11月01日 「世のため人のためなら、すすんで損をしてみる」

2014/11/01京セラKDDI設立。新時代経営リーダー稲盛和夫の経営哲学生き方に学ぶ/外食業界に生きる人間として(竹谷稔宏)

「世のため人のためなら、すすんで損をしてみる」

いろいろな問題を抱えながら発信した新規事業DDIは営業開始直後から新規参入組のなかで、つねにトップの業績を上げて先頭を走り続けけることができました。その理由を当時もいまも、人から尋ねられることが少なくありません。それに対して私の答えは一つ。国民のために役に立ちたいという私心なき動機がもたらした、ということしかありません。

DDIの創業当時から私は、「国民のために長距離電話料金を安くしよう」「いまわれわれは百年に一度あるかないかという大きなチャンスを与えられている。その機会に恵まれたことに感謝し、このチャンスを活かそう」ということあることに従業員に訴えつづけてきました。

そのためDDIでは、従業員全員が自分たちの利益ではなく、国民のために役立つ仕事をするという純粋な志を共有することになり、心からこの事業の成功を願い、懸命に仕事に打ち込んでくれた。それによって代理店の方々の応援も得られ、ひいては広範なお客さまの支持を獲得することもできたのです。

DDIの創業後しはらくして、私は一般の従業員にも額面で株式を購入できる機会を与えました。DDIが成長発展を重ね、いずれ上場を果たしたときに、ギャピタルゲインをもって従業員の懸命の努力を報い、また私から感謝の思いを表したと考えたからです。この一方、創業者である私自身は、もっとも多くの株式を持つことも可能であったわけですが、実際には一株も持つことはありませんでした。それはDDIの創業にあたり、いっさいの私心もはさんではならないと考えていたからです。私がそのとき一株でも持っていたら、やっぱり金儲けのためかといわれても反論できなかったでしょう。

不利な条件を自ら申し出たかたちになり、DDIの役員会では、まんじゅうのアンコは相手にやって、こっちは皮だけ食うつもりかとあきれられましたが、私は損して得をとれ、負けて勝つという言葉もある。みんなで頑張ってまんじゅぅの皮を黄金の皮にしようと説得しても、何とか事業をスタートさせたのです。

DDIとauの成功は、世のため人のために役立ちたいという考え方が天佑を招いたものであり、動機善であれば、かならずや事はなるということの証明にほかならない。私はそう考えています。外食業界の場合には、経営思想とし「世のため人のためなら、すすんで損をしてみる」

ということはとても大切なことであり、人を介しいサービス、ビジネスが成立仕事だけに常に心に秘めておかなければならないことだろう。

どうしても現場や中間管理職の仕事は、仕事がルーティン化するために、仕事を流してしまうことが多々であり、常に原点に返る精神や時を持つことが大切である。自分は誰のために仕事をしているのだろう。と自分に問いかけることは、ある意味大切なことであり、その答えは勿論自分のためであり、社会貢献、お客様のためであることに他にならないことを忘れてはならない。

何故に人間は、愚かな動物であろうかなどと「ふと宗教じみたこと」を感じることもあるが、やはり人間としては、自分の仕事や仕事内容がどのようなものであれ、社会貢献の一端を担っていることにはかわらないはずだ。

大切なことは、常に「世のため人のためなら、すすんで損をしてみる」という気持ちをもって仕事に取り組んでいくことであり、日々のメンタリズムを安定化しておく心の余裕を持ち生きていくことを忘れてはならない。