2015年01月01日 「足るを知る」という生き方

2015/01/01セラKDDI設立。新時代経営リーダー稲盛和夫の経営哲学生き方に学ぶ/外食業界に生きる人間として自然の理に学ぶ「足るを知る」という生き方

これからの日本と日本人が生き方の根に据えるべき哲学をひとことでいうなら、「足るを知る」ということであろうと思います。またその知足の心がもたらす、感謝と謙虚さをベースとした、他人を思いやる利他の行いであろうと思います。この足るを知る生き方のモデルは、自然界にあります。ある植物を草食動物が食べ、その草食動物を肉食動物が食べ、肉食動物の糞やしかばねは土に返って植物を育てる。弱肉強食が掟の動植物の世界も、大きな視点から見ると、このように「調和的な」命の連鎖の輪の中にあるのです。

したがって人間とは異なり、動物はその輪を自ら壊すようなことはしません。草食動物が欲望の赴くまま植物を食べつくせば、そこで連鎖は断ち切られ自分たちの生存はおろか、あとに続く生物も危機にさらされてしまいます。そのため彼らには、必要以上にはむさぼらないという節度が本能的に備わっています。

ライオンも満腹のときは、獲物をとりません。それは本能であり、同時に創造主が与えた「足るを知る」という生き方でもあります。その知足の生き方を身につけているからこそ、自然界は調和と安定を長く保ってきたわけです。人間もこの自然のもつ「節度」を見習うべきではないでしょぅか。もともと人間も自然界の住人であり、かつては、その自然の摂理をよく理解し、自分たちも生命の連鎖の中で生きていたはずです。それがやがて、植物連鎖のくびきから解き放たれ人間だけが循環の法則の外へ出ることが可能になった。そして同時に、他の生物と共存を図るという謙虚さも失ってしまったのです。

自然界において、人間だけがもつ「高度な」知性は、食糧や工業製品の大量生産を可能にし、それを効率化するさまざまな技術も発展させましたが、やがてその知性は傲慢へと変わり、自然を支配したという欲望を肥大させていきました。同時に足るを知るという節度の壁も消えて、もっと欲しい、もっと豊かになりたいというエゴが前面に押し出され、ついには地球環境をも影響を及ぼす状況に陥ってしまったわけです。

まさに外食業界もこの精神を理解し企業としての在り方を見直す時代に来ていることを自覚しなければならないだろう。飲食業が成功すれば、何をどのように販売してもよいのだという傲慢さや環境に対する配慮もなされず、消費中心のサイクルを平然としてこれまで行ってきていることである。

やはり外食業に携わる企業としては、食材の生産から消費、リサイクルに至るまで責任を持ち社会的にも貢献する姿勢を持っていかなければならないだろう。

一般的には飲食業が繁盛すればなにをしてもよいという風潮があり、大きな失敗や社会的批判を受けると、すぐに対処するという場当たり的姿勢はこれまでも変わらない現実であることだ。やはり基本的には、自然への共存共栄をしていくことも大変重要な意義を持っていることだろう。企業間の競争や競合はいつの時代も続く現象であろうし、強い業態が勝つことは、いわば弱肉強食と同様な意味を持っているだろうし、生活者のニーズをとらえる業態が賞賛を浴びることはいまもかわらない現実である。

しかし忘れてはならないことは、自然の理に学び、企業としての在り方や生き方も外食企業として学ぶベきことは多いことを自覚することであろう。