2017年08月01日 後継者(部下)を育てる手法とは「宣教師をつくること」

2017/8/01後継者(部下)を育てる手法とは「宣教師をつくること」竹谷稔宏

京セラ・KDDI設立。日本航空では会社更生法の適用から2年で営業利益2,000億円というV字回復をやってのけた新時代経営リーダー稲盛和夫の経営哲学「人を生かす」に学ぶ/外食業界に生きる人間として常に創造的でなければならない。竹谷稔宏

京セラの創業者である私でも、会社の方針を部下に伝えることは、ずいぶん苦労したものです。私も社員が200名、300名と増えてきたときに、たいへん悩みました。そのとき私は、私を心から尊敬し、私の代わりに社員に話をしてくれるような、そういう幹部をつくりたいと思いました。

キリスト教の宣教師が江戸時代初期の封建社(君主が臣下に土地や特権を与え、臣下はそれに見合う忠誠を尽くす事を契約する社会のこと)のなかで、長崎の地たで命をかけて布教したように、私の教えを社員に説こうという幹部が私の周辺にいてほしいと思いました。そういう幹部がいなければ、何千名、何万名という組織になったときに、会社は誤解してしまうのではないか。私の思想、哲学を、命をかけてくれるような、宣教師みたいな人たちが欲しい。そういう幹部をつくらなければならないと思ったのです。

そのために私は、必死になってそういう人を養成しようと、あらゆる機会を設けて訴え続けました。すると、「宣教師が欲しい」という私の考えを耳にタコができるほど聞いてきた、創業時からいる人達が、「社長がそれほどココロから願っているなら、自分はその任にふさわしくないかもしれないが、「一翼を担う」と動きだしてくれたのです。そういう人たちが幹部になっていくのです。あなたの考えに共鳴し、その考えを社員に伝えていく「宣教師」がでてくるよう、自ら努力し、幹部と話し合うことです。

外食業界においても創業者して急成長を遂げて早く後継者に事業を委ねるというケースは、様々な企業で起きている後継者を育てるということである。

外食に限らず、企業の後継者や信頼できる部下を育てることは、そうたやすいことではないことは周知の通りであり、創業者の分身を育てることは、並大抵のことではない。

特に飲食業の創業者は、額に汗して作り上げてきた事業であるだけに非常に苦労も多く、様々な試練や難題を乗り超えてきていることを配慮すれば、すぐに同じ目線で業務を継承することはやさしてことではないことは致し方ないことでもある。

飲食業の場合には、飲食店(ターゲット層、メニユ―開発、店づくり、内装デザイン、厨房システム、販売促進、知名度アップなど)の成功フォーマット(利益構造)を確立するまでに様々な実務経験をして成長してきていることを後継者は実務として体験できないという難しい問題がある。

その創業者の仕事に対する姿勢や行動すべてを参考に少しずつ業務を継承していくことが大切である。創業者の取り巻きがしっかりとしていれば、事業を継承する部下や後継者をサポートすることはできるものの、組織が確立されず急成長してきた場合には、往々にして組織が軟弱な場合も多く、会社の組織が機能していないこともしばしばであり、そのため会社の推進や決定は全てトップに依存していることがほとんどである。

この現状において創業者を継承するには、創業者の仕事に対する姿勢や発言、考え方、思想、哲学など全てを学習し、創業者の宣教師になる気持ちで事業を継承させていくことがうまくいく方法のひとつである。

つまり創業者が後継者に対して指導することは、自分の分身、宣教師を育成する姿勢で取り組むことが大切であり、しばらくは創業者に分身に徹することが重要であることを忘れてはならない。